体温調節のしくみとは?反応の種類9個や風邪の時に働くメカニズムを解説 - 《公式》alpoca(アルポカ)
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体温調節のしくみとは?反応の種類9個や風邪の時に働くメカニズムを解説

     

そもそも体温とは

体温とは、体の温度のことを意味します。その体温は、体の中心に近づくほど高くて安定しています。本来、体温とは脳や内臓、血液など、身体の深部の温度を言い、直腸温が体温に一番近いと言われます。ですが実際には測ることができないため、測定しやすい脇の下や口、耳などで検温します。

そして、私たちは暑くなると顔が赤くなったり、汗をかきます。また寒くなれば手足が冷たくなったり、ふるえたりします。こうして体温を一定の幅に保つようにいつもコントロールしているのです。

また、人間の体温は、1日のうちでも変動しています。時間ごとで平熱も変わってくるのです。その為、時間ごとでの平熱を知っておくと、自分の健康管理にも繋がります。

体温は部位によって異なる

私たちの身体は、耳や口、脇とそれぞれの部位には各部位の平熱があり、部位によって体温が異なります。

脇で測るだけでは表面の温度ですが、しっかりと脇を閉じることで温まり、体の内部の温度が反映されます。十分に温まったときの温度を平衡温と言い、平衡温を測るのが正しい検温と言えます。

手、足、顔と言った体の末端や表面の温度は、季節や環境により体温に影響が生じる為、体温調節が必要とされます。一方、脳や心臓など内部の温度は大切な臓器を守る事を目的とする為、高い温度で安定しています。

また、体温調節のしくみを活用することで、私たちは健康な体を作ることが出来ます。

皮膚温(外殻温度)

皮膚温(外殻温度)とは、環境による温度の影響を受けやすい表面の体温を言います。

末端と言われる手や足など、体の中心から離れるほど影響を受けやすく体温が下がります。よって、末端を冷やさない様、体温調節のしくみやメカニズムを整えることが大切です。

核心温度

核心温度とは、脳や心臓など環境温度の影響を受けにくい身体深部・内部の温度を言います。体温調節のしくみは、体温調節機構によって一定に調節されるしくみになっています。

ただし、日内変動(日中は上昇、夜間は低下)や寒冷環境で体表温度は低下してしまいます。
さらに、体温調節範囲の限度を超えると意識障害や命の危険に係わる場合があるので注意が必要です。

体温調節が必要な理由

体温調節が必要な理由とは、生命維持に必要な温度を保つ為です。人は生命を維持する為に37℃が必要とされ、44~45℃では命に危険が生じます。また、33℃では酵素反応の最低限界となってしまうなど、生きていく上で体温調節のしくみは大変重要だと考えられます。

寒さへの対応

寒さ対策として、首元や手先など露出している部分は衣服を着用しても冷えやすい為、手袋、帽子、マフラー等の防寒グッズで露出部分を温めてあげることが大切です。

足先を温める事で体全体もポカポカしてきます。靴下やレッグウォーマも冬には欠かせないアイテムの一つです。

暑さへの対応

暑さへの対応能力をつける為に大切な事が、汗をきちんとかく習慣をつける事です。

日頃から運動や入浴などで汗をかく機会を増やしておくことが必要です。普段から発汗に抵抗がなければ、突然の気温の上昇にも対応しやすくなるので、熱中症にもかかりにくくなります。

そして、夏は冷房に頼り過ぎない様、室温を28度前後に設定したりドライ機能を活用するなどして、体温調節の方法を工夫しましょう。女性は特に冷えに対し油断禁物です。

体温調節のしくみとは?反応の種類9選

人は体温を一定に保つために、汗をかいたり、血液の流れる量を変化させて調節します。暑い時は、血管が太くなり、血液をたくさん流すことによって皮膚の表面温度を上げます。これは体内の熱を外に出す必要がある為です。

反対に、寒い時は血管が細くなり、血液をあまり流さない事で皮膚の表面温度を下げ、体内の熱を外に逃がさないように調節しています。

熱産生反応

熱産生反応とは、代謝、ふるえ熱産生(シバリング)、非ふるえ熱産生を言います。ふるえ熱産生(シバリング)は骨格筋の収縮(ふるえ)によって熱が作られることを指します。食べ物として摂取したエネルギーの80パーセントは熱となり、これを代謝と言います。

それ以外の機構による熱産生を指す、非ふるえ熱産生は、ホルモンの一種であるノルアドレナリンによって主に調節され、シバリングを伴わずに生物の体内で熱が産生されます。肝臓や褐色脂肪組織などで産生され、体温の維持や代謝アップに大変重要となります。

体温調節のしくみ1:基礎代謝(自律性体温調節)

体温調節のしくみには基礎代謝が関わっています。基礎代謝とは、活動における必要最低限のエネルギーのことです。成人女性で1日約1,200kcal、男性で約1,500kcalとされています。

基礎代謝の高い人は、摂った栄養素をしっかり消費できますが、基礎代謝が低いと1日の消費カロリーが減ってしまい、太る原因となります。

基礎代謝が低くなる原因とは、加齢、筋肉量の減少、不規則な食事があげられます。成長期まっただ中である小学校高学年くらいが最も基礎代謝量が高いのですが、年齢と共に代謝が落ちていく為、基礎代謝を上げるためには運動が大切となります。

体温調節のしくみ2:筋運動(運動)

体温調節のしくみの2つ目は、筋運動です。人体には600を超える筋肉があり、筋肉は、起始点と停止点と呼ばれる場所で骨に付着しています。

筋運動は、屈曲と伸展、外転と内転のように多くは対になっています。外転と内転は通常、左右交互の動作で、挙手跳躍運動をする時に腕を外側に動かすなどの動作が当たります。

体温調節のしくみ3:ホルモン反応(内分泌作用)

体温調節のしくみの3つ目は、ホルモンが関係しています。ホルモンは、代謝や成長、内部機能を助けてくれています。

血流を循環し、視床下部と下垂体から始まります。ホルモンのおかげで、私たちの身体はストレスや外界の変化に対応でき、代謝や成長などの全身プロセスの調節もできます。

体温調節のしくみ4:細胞代謝(褐色脂肪組織)

体温調節のしくみの4つ目は、細胞代謝が関係します。褐色脂肪組織は、新生児や冬眠動物に多く見られます。

その特徴として、体を震わせないで体の熱を生成できる点があります。そして、褐色脂肪組織は年齢とともに減少するため、褐色脂肪組織が多く存在している首、肩、鎖骨や肩甲骨、腎臓周辺を活性化させる事で、効率的なダイエット効果が期待出来るとも言われています。

熱放散反応

熱の放散は、蒸散性熱放散と非蒸散性熱放散に分類されます。蒸散性放散は、エクリン腺という体温上昇によって塩分を分泌する汗腺により発汗し体表面を汗で濡らし、その際に気化熱として体熱を下げる現象です。

非蒸散性熱放散は、水分の蒸発をせず、熱が体表面から環境中へ伝導や放射・対流を通じて移動する現象を介した反応です。非蒸散性熱放散の調節に重要な働きをする器官の代表的なものとしては、皮膚の血管が挙げられます。鳥肌が立つことも非蒸散性熱放散反応の一種です。

体温調節のしくみ5:発汗(蒸発)

体温調節のしくみの5つ目は、発汗です。汗をかく目的は調節機能をすることです。発汗は運動時や発熱時など体温が高くなった時に起こります。そして、皮膚の上で汗が蒸発するときに熱が奪われ、体温を平熱に保つことが出来ます。

もし汗をかかなければ、体内に熱がこもってしまい命に危険が生じることもあり、発汗作用はとても重要な役割を果たしています。

体温調節のしくみ6:呼吸(不感蒸泄)

体温調整のしくみの6つ目は呼吸です。私たちが感じる事なく、発汗以外の皮膚や呼気から蒸散する水分を言います。体温や呼吸の状態で変動しますが、不感蒸泄量は成人でおよそ1日900ml程もあります。

汗をかかないからと言って水分補給をしないと、水分不足により体調不良を起こしやすくなる為、日々水分補給が必要となります。

体温調節のしくみ7:輻射

体温調節のしくみの7つ目は、輻射です。輻射は個体間の熱移動のことです。物と物の間に温度差があれば必ず温度の高い方から低い方へ熱移動します。遠赤外線や光といった現象もその一つです。

遠く離れた太陽から地球に熱が届くのも、この輻射の現象です。また、人間からも実は物に対して輻射で熱が移動しているのです。例えば、間接暖房では周囲の固体温度を操作することで、人体からの輻射量を調整しています。

体温調節のしくみ8:伝導

体温調節のしくみの8つ目は、伝導です。熱が物質の移動なしに高温部から低温部へ伝わる事を伝導と言います。

例えば冷えた椅子に座っていると時間が経つにつれ椅子は暖かくなっています。これは身体からの熱が伝導されている証拠です。

体温調節のしくみ9:対流

体温調節の9つ目は、対流です。対流とは、動いている気体や液体のように流体によって熱エネルギーが運搬される事を言います。例えば、扇風機や冷暖房のように暖められたり冷やされた風が人に熱を伝える事で、私たちは体温調整をする事が出来ます。

風邪の時に体温調節のしくみが働くメカニズム5つ

発熱している時は身体の中で免疫細胞がウイルスと戦っている証拠です。体温調節のしくみを用いて、体温を上げて免疫を活性化させ、ウイルスへの攻撃力を高めています。風邪を引いた時、こうして体温調節のしくみが活用されています。

体温調節のしくみが働くメカニズム1:ウイルスを免疫活性食細胞が迎え撃つ

風邪の時にウイルスが体内に入ってくると、マクロファージがウイルスの情報収集をします。マクロファージは、その情報を免疫の司令官のT細胞へ伝達し、ウイルスに感染した細胞を破壊するように命令します。

T細胞は、B細胞に抗体を作るように指令を出し、ウイルスに対抗する大量の抗体を作り出します。この抗体が補体と協力して、ウイルスに感染した細胞を破壊します。また、ウイルスではなく細菌の場合は、異物と認識され攻撃されます。

体温調節のしくみが働くメカニズム2:内因性発熱物質サトカインが作られる

サイトカインは、内因性発熱物質とも呼ばれ、ウイルスとの戦いが始まると、免疫活性食細胞の働きによりつくられます。

サイトカインには、インターロイキン1、インターフェロン、マクロファージ炎症蛋白(MIP-1)などの種類があります。

体温調節のしくみが働くメカニズム3:サイトカインが血流で脳に達する

サイトカイン(内因性発熱物質)は、血流に乗りながら脳に達しますが、目的地である脳の視床下部に行く途中でゲートとなる血液脳関門がある為、到達が困難となります。

体温調節のしくみが働くメカニズム4:情報伝達物質を作り視床下部に伝える

脳の視床下部にたどり着かない為、メディエイタと呼ばれる物質であるプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を促し、情報を持って視床下部へむかいます。こうして視床下部に伝達されます。

体温調節のしくみが働くメカニズム5:視床下部が発熱を指令

メディエイタから情報を受け取った視床下部の体温調節中枢は、身体の各部に発熱を指令します。そしてこの指令にもとづき、皮膚の血管が収縮したり汗腺を閉じるなど、熱放散が抑えられ、筋肉をふるえさせて熱産生をうながし体温が上がります。

風邪の時に体温調節が必要な3つの理由

風邪を引いてしまった時は、体温調節して上手に体温を上げることが症状を長引かせないポイントです。

体温を上昇させることで、免疫力が活性化されると言われています。風邪の初期段階で、身体を温め免疫力をアップすることで、いちはやくウイルスを撃退することができるので、悪寒など身体の異変を感じたら、身体を温かく保ちましょう。

体温調節が必要な理由1:病原菌の増殖を抑制する

発熱によって白血球などの免疫に関わる細胞が活性化されたり、病原菌の増殖を制御することがわかってきました。その理由ははっきりと解明されてはいませんが、温度があがるとたくさんの水素イオンが流れる、つまり活性酸素がたくさんつくられるということがわかっています。

体温調節が必要な理由2:白血球の機能を活発にする

傷口などから体内に侵入した細菌は、白血球に攻撃されます。また、風邪を引いた際、なぜ発熱がおこるかと言うと、白血球が病原体を攻撃したときにつくるサイトカインという物質が脳の視床下部に作用するためであると考えられます。

発熱によって白血球などの免疫に関わる細胞が活性化されます。体温が上がることによって、白血球が病原体を攻撃する機能が高まるということです。

体温調節が必要な理由3:免疫応答を活性化する

体温上昇によって免疫細胞の一つであるマクロファージの活動がさらに活性化されることが発見されました。

インスリン分泌も、体温と密接な関わりがあることも分かってきました。体温が生体に与える影響はとても大きいことから、体温調節のしくみを理解することで免疫応答の活性化に繋がります。

体温調節のしくみを知り健康を維持しよう

体温の調節機能は、間脳の視床下部にあり、視床下部にある体温調節中枢が体温を調節する司令塔のような役割をしています。

体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、設定された体温をセットポイントと言い、私たちのセットポイントは37℃前後に保たれています。これは体内酵素が活性化する温度です。

夏の暑い時期などは血管が太くなり、たくさんの血液を流すことによって、皮膚の表面温度を上げます。汗をかくことによって、皮膚から熱を外にどんどん放出し、体の中に熱がたまらないように体温を調節しています。

寒い時は、体内の熱を外に逃がさないようにする必要があります。血管が細くなり、血液をあまり流さないことで、皮膚表面の温度を低く保ち、体内の熱を外に逃がさないように体温調節をしています。

このような体温調整のしくみを活用し、季節にあった運動や対処方法を見つけ、体づくりをして行きましょう。

     

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