「便秘が原因で口臭が発生する」と、耳にしたことがある人もいらっしゃるでしょう。便秘と口臭は無関係のようにみえますが、実は密接な関係があります。そこで、冷えが原因で便秘に悩む30代以降の女性に向けて、便秘が口臭の原因になるメカニズムや解決方法などを解説します。
この記事をご覧いただければ、便秘と口臭の関係性の深さを理解でき、便秘による口臭の発生を防ぐ方法がわかるようになるため、参考にしてください。
目次
口臭には種類がある?2種類の口臭とは
口臭は、大きく分けて「生理的口臭」と「病的口臭」の2つがあります。それぞれにどのような特徴があるのか、どんな違いがあるのかなどを以下の見出しで解説します。
生理的口臭とは
生理的口臭とは、おもに口内環境の影響によって発生する口臭のことです。口内に分泌される唾液が減少すると、雑菌や細菌などが増えて口臭のもととなる臭いを発生させます。とくに、寝起きや空腹、緊張しているときに唾液の分泌量が減る傾向にあります。
また、ニンニクやネギ類などの強い臭いを発生する食品や、タバコ、アルコールといった嗜好品を摂取した場合も、一時的に口臭が強くなるため注意が必要です。生理的口臭を見分けるポイントは、飲食や歯みがきなどをすれば口臭が抑えられる点です。
病的口臭とは
病的口臭とは、虫歯や歯石などの口内トラブルや病気によって引き起こされる口臭を指します。生理的口臭と異なり、歯みがきなどのケアをしても臭いが弱まることはありません。臭いは生理的口臭よりも強く、口臭の原因を取り除くまで放ち続けます。病的口臭は口内のトラブルがおもな原因ですが、ほかの病気が原因で口臭が発生している可能性もあります。
たとえば、口腔がんや慢性鼻炎、蓄膿症、糖尿病、肝機能の低下などです。また、便秘が原因の口臭も病的口臭に含まれます。歯みがきをしても口臭の強さが変わらない場合は、口内トラブルや病気の可能性があることも理解しておきましょう。
便秘が口臭の原因になるメカニズムは?

口臭の原因が便秘だった場合、便秘がどのようにして口臭を発生するのか気になる人もいらっしゃるでしょう。ここでは、便秘によってどのように口臭が発生するのか、そのメカニズムについて詳しく解説します。
腸に排泄物がたまることで腐敗臭が発生する
便秘が原因の場合、腸内で発生する腐敗臭が口臭のもとであると考えられます。便秘とは、本来体外に排出されるはずの排泄物が腸内に蓄積されている状態を指します。この状態が長く続くと、排泄物に含まれるタンパク質やアミノ酸が腐敗し、腸内の悪玉菌が増殖する原因になります。
悪玉菌は腸内環境に悪影響を及ぼす存在です。悪玉菌が腸内で増殖することで、有害物質や腐敗臭が発生します。腸内環境が悪くなると、食べカスを分解する際にも悪玉菌の作用によって臭いが強まる可能性があります。
血液に腸内の腐敗物質が溶け出し全身に回る
便秘によって腸内で腐敗臭が発生すると、臭いのもととなる腐敗物質は血流にのって全身を巡ります。本来であれば、腸内で発生した腐敗物質は排便の際に排泄物と一緒に体外に排出されます。しかし、便秘の状態が続くと排泄物が腸内に蓄積されるため、腐敗物質を体外に排出できません。
腐敗物質は行き場を失い、腸内の水分に溶け込むと腸壁から再び体内に吸収されます。吸収された腐敗物質は、水分とともに血管に入り込み、血液の流れに沿って全身へと運ばれてしまいます。
肺に腐敗物質が運ばれて口から臭いが漏れる
血流にのって全身をめぐる腐敗物質は、肺から口内へと回ります。血液中の腐敗物質が肺に取り込まれると、呼吸と同時に口内へと運ばれます。息を吐いたとき、発声したとき、ゲップなどに漏れ出るニオイこそが腸内で発生した腐敗物質です。
便秘が原因の口臭は、腸内で発生した腐敗物質によるもののため、便に近いニオイになる場合があります。また、便秘の期間が長いほど腸内に排泄物が停滞する時間も長くなるため、腐敗物質も多く発生しやすくなります。腐敗物質が及ぼす影響は、口臭がきつくなることだけではありません。腐敗物質は全身を巡るため、汗や体臭にも混じってニオイを発します。
便秘になりやすい女性が多いのはなぜ?

一般的に、男性よりも女性のほうが便秘になる人が多いといわれています。ここでは、女性が便秘になりやすい理由について詳しく解説します。自分にもあてはまる理由がないか確認しておきましょう。
女性ホルモンの影響
ホルモンのバランスが崩れる影響で便秘になるケースも多いといわれています。とくに女性は、排卵後や妊娠中に「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が体内で多く分泌されます。黄体ホルモンとは女性ホルモンの一種です。黄体ホルモンは、排泄の際に起こる腸のぜん動運動を弱める作用があり、分泌量が増えると便秘を引き起こしやすくなります。
また、黄体ホルモンは体内に水分をためこむ特徴もあり、便の水分量が減って硬くなることからも便秘を誘発することがあります。
食べないダイエット
食事量を減らすなどのダイエットが便秘につながる場合があります。体重の増加を気にして食事量を減らすダイエットを行う人も少なくありません。食事量が減れば、食物繊維や水分の摂取量も減ってしまいます。食物繊維や水分は、正常な便を形成するうえで重要な役割があるため、不足すれば柔らかすぎたり、逆に硬くなりすぎたりして便秘を引き起こしやすくなります。
また、腸内で便の滑りを良くする脂質の摂取量にも注意が必要です。このように、食事量の減少は腸の動きを悪化させたり、硬い便を作ったりして便秘を引き起こすため、食事量を減らすだけのダイエットは避けましょう。
排泄を我慢してしまう
毎朝、食後などに定期的な排便があれば、便秘で悩むことはありません。しかし、忙しくてトイレに行く時間がない場合や外出先で便意を感じた場合、トイレに行くことを我慢してしまう方もいるのではないでしょうか。便意を我慢し続けると、便秘が起きやすくなってしまいます。
体内では、消化された食べカスが腸に送られ、ぜん動運動によって便を体外に排出しようと排泄の準備に入ります。便が直腸にたどり着くと排便のサインとして便意を起こしますが、我慢し続けるとぜん動運動が弱まり、次第に便意が起きなくなるのです。
身体の冷え
身体の冷えが便秘を引き起こす場合も少なくありません。冷たい飲み物や食べ物を頻繁に摂取したり、熱エネルギーを作る際に必要な栄養が不足したりすることなどが原因で、身体の冷えを引き起こしてしまいます。身体が冷えると血管が収縮し、血流の悪化を招きます。十分な血液が内臓に回らなくなるため、腸は便を押し出す力を十分に発揮できません。
そうすると、便は排出されずに大腸内に蓄積され、便秘の状態になってしまいます。腸の冷えは便秘だけでなく、自律神経のバランスを崩したり、下痢などを起こしたりするため、身体を冷やさないよう気をつける必要があります。
便秘による口臭を解消するには

口臭の原因が便秘の場合、いくつかの方法があります。ここでは、3つの解消法について詳しく解説します。以下を参考にして、口臭を改善しましょう。
便秘を解消する
便秘が口臭の原因である以上、便秘の解消こそが最善の策といえるでしょう。口臭のもとになる腐敗物質は、便秘によって腸内に便が長く留まることが原因で発生します。便が定期的に排泄されるようになれば、腐敗物質の発生を抑えられます。そのためには、便秘を解消して腸内環境を改善することが大切です。
具体的には、腐敗物質を発生させる悪玉菌を減らし、腸内環境を整える役割がある善玉菌を増やす必要があります。腸内の善玉菌を増やすには、食物繊維や乳酸菌の摂取が欠かせません。たとえば、ごぼうなどの根菜類やヨーグルト、チーズなどの発酵食品を積極的に食事に取り入れましょう。
セルフチェックで口臭を確認
口臭は案外、自分では気づかないものです。そのため、まずはセルフチェックを行い、自分の口臭を確認しましょう。口臭チェッカーは、口臭のセルフチェックにおすすめです。市販品のため、手軽に手に入ります。
口臭チェッカーを使用しない場合は、次の3つの方法を参考に試してみてください。1つ目は、ビニール袋を用意して息を吐き、袋内にたまった臭いを確認する方法です。2つ目は、歯みがきで使用している歯ブラシの臭いで判断する方法です。そして3つ目は、ティッシュなどで舌の表面を拭き取る方法です。ディッシュについた臭いを確認してみましょう。
生活習慣の見直し
口臭につながるケアの見直しも大切です。便秘が原因で口臭が発生する場合でも、口内環境のケアはおろそかにできません。歯みがきの仕方や頻度を見直します。歯みがきの際、フロスや歯間ブラシなどを使用したほうが、歯のすきまの食べカスを取り除けるため、歯垢や歯石、虫歯の予防にもなります。
また、歯だけではなく、舌の汚れをとるケアも忘れずに行います。舌を出したときに白っぽくなっている場合は汚れのサインであるため、舌専用のブラシや清潔なガーゼなどで汚れを取り除きましょう。
そして食事をとる際に気を付けることとして、なるべく歯ごたえのあるものを食べ、水分もこまめにとるようにしましょう。噛む回数を増やすことは唾液の分泌を増やすことにつながり、口内環境の改善をはかれます。
便秘を解消する方法は?

便秘を解消する具体的な方法がわからないという人もいるかもしれません。ここでは、便秘を解消するための方法を解説します。以下で紹介する方法を参考にして便秘の解消に役立ててください。
食生活の見直し
摂取する食事量が少ないと便の量も減るため、腸の動きが鈍ってしまいます。バランスの良い食事を1日3食とるように心がけましょう。上述したように、食物繊維は便秘の解消に欠かせません。食物繊維には、水に溶けにくい「不溶性」と水に溶けやすい「水溶性」の2種類があり、それぞれで働きは異なります。
不溶性の食物繊維は、腸壁に刺激を与えて腸のぜん動運動を促します。水溶性の食物繊維の役割は、善玉菌の働きを活発にして腸内環境の改善をサポートすることです。便が硬くなりすぎないように、こまめに水分を摂取しましょう。
ストレス解消
ストレスが便秘の原因になる場合もあるため、ストレスをためないようにしましょう。ストレスと密接な関係がある自律神経には、交感神経と副交感神経があり、バランスが保たれることで心身の健康につながっています。
副交感神経が優位になると腸の動きが活発になり、ストレスを感じると交感神経が優位になって腸の動きを鈍らせてしまいます。腸を正常に働かせるためには、ストレスをためないことが大切です。趣味を楽しむ、質の良い睡眠をとるなどのように、ストレスがたまらない生活を心がけましょう。
適度な運動を心がける
体を動かすことは、腸のぜん動運動を促したり、ストレスを発散したりするためにも良いといわれています。日常生活に運動習慣を取り入れ、腸の働きを活発化させて便秘を解消しましょう。運動といっても、ランニングなどの激しい運動をする必要はありません。軽い運動でも毎日継続して行う運動習慣をつけることのほうが大切です。
なかでも、ウォーキングは自律神経のバランスを整えたい人におすすめです。1日30分程度を目安に行いましょう。
便秘解消で口臭を防ごう!
口臭を防ぐためには、原因の便秘を解消する必要があります。
ご紹介した内容、ぜひとも試してみて下さい。