身体の冷えは、冬や秋の肌寒い季節だけでなく、春や夏などでも女性の悩みのタネです。しかし、自覚症状がない人もおり、放置するとさまざまな不調を引き起こす可能性があります。
そこで本記事では、自身が冷え性なのではないか?と不安がある人に向け、冷え性の種類やお腹の冷えの解消法について解説します。冷えの原因や体質の改善法を知りたい人はぜひお役立てください。
そもそも冷え性とは?4種類の冷え性について

冷え性とは?
そもそも「冷え性」とは、ホルモンバランスの乱れや筋肉量の不足、冷たい食べ物のとり過ぎなどさまざまな原因により、血流が悪くなって寒気を感じる状態です。
「冷え性」には、「冷え症」と「冷え性」の2つがあります。自覚のある「冷え症」は、東洋医学的な治療の対象です。一方、貧血や甲状腺機能低下症など明らかな病気による「冷え」は、西洋医学においても治療対象となります。しかし、多くは検査で異常がない「体質的な冷え」なため、西洋医学的には「冷え性」として扱われます。
四肢末端型
四肢末端型とは、手足の先まで血液が循環しないことにより生じる冷え性です。
食事量が少なかったり運動量が不足したりすると、体内で熱を十分に生みだせないため、身体の末端まで血液がめぐりにくくなります。生活習慣の乱れによって交感神経が過剰にはたらくと、手足や足先の血管が収縮して起こることもあります。
過度なダイエットをする人や疲れのたまっている人、10代~20代の女性などに多いとされています。
内臓型
内臓型とは、「隠れ冷え性」と呼ばれるタイプの冷え性です。手足や体の表面は温かいのに、お腹(内臓)が冷えてしまうのが特徴です。
内臓型の冷え性は、ストレスによる自律神経の乱れや体を冷やす食べ物や水分の摂りすぎが主な原因といわれています。起床直後にお腹に手を当てたときに冷えている人は、内臓型冷え性かもしれません。また、下腹部や二の腕などに冷えを感じたり、お腹をくだす症状がみられたりする場合も内臓型冷え性の可能性があります。
下半身型
下半身型とは、上半身は冷えていないけれど、お尻や脚など腰から下が冷えているタイプの冷え性です。別名「冷えのぼせ」とも呼ばれており、加齢とともに血管が細くなったり筋力が衰えたりすると、生じやすい傾向にあります。下半身の筋肉不足が原因で血行不良が起き、冷えが引き起こされている状態を指します。
デスクワークで座る時間が長いと、下半身の筋肉を動かさないため血行不良になり、下半身が冷えやすいといわれます。また、塩分や水分を過剰に摂取してむくんでしまっている人も、下半身型冷え性になりやすいタイプです。
全身型
全身型とは、季節を問わず1年中寒さを感じる慢性的な冷え性です。基礎代謝が低下している人や、慢性疲労をかかえている人に多く、若年層から高齢者まで幅広い年代にみられます。
全身型の人は冷えだけでなく、慢性的なだるさや食欲不振、気力低下があるのも特徴的です。「冷え性だ」という自覚症状は乏しい傾向にあり、放置すると身体機能の低下につながりかねません。症状の改善には、バランスのよい食事と適度な運動で基礎代謝を上げるなどの対策が必要です。
お腹の冷えは「内臓型冷え性」

前述した4つの冷えのうち、お腹の冷えは「内臓型」にあたります。内臓型冷え性の人は冷え太りでお腹まわりに脂肪がつきやすいため、その特徴もふまえた対策が必要です。この章では内臓型冷え性の原因や症状を詳しくみていきましょう。
内臓型冷え性になる原因
内臓型冷え性の主な原因には、「ストレスによる自律神経の乱れ」と「冷たい食品の過剰摂取」の2つが考えられます。
自律神経が乱れると、末端の血管が収縮せず内臓に血液を送りにくくなり、内臓が冷えてしまいます。また、生野菜やスムージーなど、冷たいものばかり食べたり飲んだりする習慣も、内臓が冷えやすくなる原因のひとつです。
一般的に、ぽっちゃり体型の人や食欲旺盛な人が感じる冷えは内臓型のケースが多いといわれています。ご自身の生活習慣を振り返ってみてください。
内臓型冷え性が引き起こす症状
内臓型冷え性が引き起こす症状のひとつに冷え太りがあります。内臓が冷えていると基礎代謝が低下し、エネルギーが燃えにくくなります。その結果、脂肪がつきやすい体質になり、冷え太りを起こします。内臓型冷え性は、冷え太り以外にも胃腸の不調や内臓機能の悪化など、さまざまな症状を引き起こす点が特徴的です。
冷えをそのままにすると他の疾病につながるケースもあるため、生活習慣を早期に改善させる必要があります。発汗やお腹の張りなどを感じたら、内臓型冷え性の可能性が考えられるため、体調の変化を注視してください。
冷え太りの改善策

冷え太りの代表的な改善方法には、食事・運動・保温・ツボ押しがあげられます。体の熱生産がされやすい体づくりには、「体温を上げる」「筋肉量を増やす」など、基礎代謝を上げる工夫が必要です。最後に、冷え太りの具体的な改善策をみていきましょう。
1.食事
冷え性は身体の内側からのケアによる体質改善が大切です。身体の内側へのはたらきかけは、食事によって実現します。効果的な食事の取り方について、やってはいけない食習慣と一緒にみていきましょう。
内臓を冷やさない食事の取り方
内臓型の冷えを改善するには、内臓を冷やす食材をできるだけ避け、身体を温める食事をとることが効果的です。たとえば、「1日の最初に白湯を飲む」「毎日朝ごはんには温かいスープを飲む」などと決めておくとよいでしょう。
また、食材には「身体を温める食材」と「冷やす食材」の2種類があります。たとえば、しょうが・玉ねぎ・唐辛子・根菜(人参・大根・ごぼう・かぼちゃなど)などは、身体を温める食品といわれています。
身体を温める食材を意識してメニューに取り入れると、冷え予防につながるでしょう。ただし、食べすぎると熱を生み出しすぎて逆効果となるため、食べすぎには注意してください。
やってはいけない食習慣
冷たい食べ物や飲み物をたくさんとると、身体は冷えやすくなります。生野菜や夏が旬の食べ物は、水分も多くとくに身体を冷やしやすいとされているため、注意してください。たとえば、きゅうり・なす・トマトなどの生野菜や、パイナップル・洋梨・オレンジなどのフルーツが身体を冷やしやすい食べ物です。
そのほか、コーヒー・ビール・白ワインなどの飲料も身体を冷やしやすいため、飲みすぎないようにしましょう。
2.運動
ウォーキングやスクワットのような運動は血流が促進されるため、基礎体温や基礎代謝アップにつながります。「忙しくて運動する時間がない」「運動がキライ」という人は、通勤や買い物などの日常的な場面できちんと身体を動かせているかの確認からはじめてみましょう。
また、普段エレベーターやエスカレーターを使って移動しがちな人は、意識して階段を利用すると、生活にうまくエクササイズを取り込めます。
3.保温
冷えを改善するには、いうまでもなく保温が大切です。冬場の薄着は避け、温かい服装を心がけてください。ただし、厚着のしすぎで汗をかいてしまうと、かえって身体を冷やす原因となります。温度差のある季節は、着脱しやすい服装にして適宜服装の調節をするとよいでしょう。カイロや腹巻も冷え対策として有効です。
また、毎日の入浴で身体の内側から温まるのも効果的なため、半身浴やシャワーではなく、しっかり湯船に浸かって温まるようにしましょう。毎日の生活に少しでもリラックスできる時間をつくると、体内時計を整える助けにもなります。
4.ツボ押し
身体を温めるにはツボ押しも効果的です。三陰交と中条流子孕みの灸点という2つのツボを紹介します。
「三陰交(さんいんこう)」は、内臓の働きをよくする、全身の冷えに効くツボといわれています。ツボの場所は、内くるぶしの頂点から指4本分上にあります。ツボを押すときは、息を吐きながらゆっくりと押し、息を吸いながら手を離すようにしてください。このツボが冷えないように、レッグウォーマーや靴下などで温めるのも効果的です。
「中条流子孕(ちゅうじょうりゅうこばら)みの灸点」は、古くから妊活のツボとして知られており、冷えにも効くツボです。ツボの位置は、おヘソを頂点とした正三角形(1辺の長さは唇の端から端までの長さ)の下2つの角です。腰のうえからカイロを貼って温めると、自律神経を整えることが期待できます。
食事・運動・保温・ツボ押しによる改善策をバランスよく実践すれば、冷え性によって脂肪がつきやすくなる状態を防ぐことが期待されます。その中でも、冷え性改善にはとくに内側からのケアが大切です。食事によってとりきれない分は、サプリメントから補うという方法もあります。